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赤外線デジタル写真を撮ろう ~カメラ改造編~
コメントはまだありません先日、夏場に撮影されているのに雪景色のように見える不思議な風景写真を見かけたのですが、そのあまりに現実離れした画像に感動し、「これは是非自分でも撮ってみたい」と思い、色々と調べてみました。
その不思議な風景写真は「赤外線デジタル写真」や「False Color(偽色)」と呼ばれる写真で、この赤外線デジタル写真を撮るためには、カメラに取り付けられている「ローパスフィルター」なるものを取り外してあげる必要があります。
そこでCanon EOS Kiss Digital Nを中古で購入し、赤外線デジタル写真用に改造してみました。赤外線デジタル写真に辿りつくには、大きく3つのステップがあります。
(1)カメラからローパスフィルターを取り外す。
(2)IRフィルター(もしくはSCフィルター)を装着する。
(3)撮影した画像のカラースワップ(色交換)を行う。まず第1ステップは何をするのかと言うことですが、後々に影響してくることですのでちょっと講釈を挟みたいと思います。
現実世界にある「光」とは「可視光線」と「不可視光線」の2種類が混在しています。
不可視光線とはいわゆる「赤外線」や「紫外線」のことですが、カメラの撮像素子はもともと可視光線も不可視光線も受け取れるように作られています。
ですが、この不可視光線が写真に残ってしまうと、自分達が見ている可視光線だけの映像とは違う色合いの写真になってしまいます。
そのため、カメラにはローパスフィルター(赤外線カットフィルター)と言うものが撮像素子の前に取り付けられていて、撮像素子が不可視光線を受け取れないような構造になっています。
と言うことで、赤外線デジタル撮影を行うためにはローパスフィルターを取り外し、撮像素子が不可視光線も受け取れるようにしてあげた上で、「IRフィルター(SCフィルター)」という可視光線をカットして不可視光線のみを透過するフィルターを装着することで、撮像素子が不可視光線しか受け取れないようにすることが必要になります。
これが第1ステップです。
ちなみに、このローパスフィルターを取り外すと、可視光線も不可視光線も受け取ってしまうため、普通の写真は撮影できなくなりますので、改造を行う前に覚悟を決めてから取り掛かってくださいね。さて、このローパスフィルタの取り外しですが、実際にやってみると精密ドライバが2本とハンダごて、それにカッターナイフがあれば簡単にできてしまいます。
分解から再組み立てまでだいたい4時間が目処と言われていますが、自分が試したところ、約2時間で終わりましたので、そんなに難しい作業ではないと思います。
作業の詳細はLife Pixelというサイトが詳しく説明してくれているので、そのページを印刷した上で、ネジを外す順番に番号を振っておきます。
実際に取り外したネジはその番号順に並べておくと再組み立てが簡単になりますので、皆さんも是非お試しください。ということでローパスフィルターの取り外しが完了しました。
ローパスフィルターが取り外せたところで再組み立て、といきたいところですが、ここで少し考えてください。
第2ステップで装着するIRフィルターを「どこに」装着するのか、ということです。
候補は2つあり、「撮像素子の前」か「レンズの前」のどちらかになります。
それぞれ一長一短があって、撮像素子の前に取り付けた場合はミラーがIRフィルターの影響を受けないため、被写体をファインダーから覗くことができるようになりますが、フィルターを交換するためには再びカメラを分解する必要が出てきます。
「フィルター交換しないよ」という方もいると思いますが、撮像素子の前にフィルターを装着する場合、ゼラチンフィルターというものを使用します。
このゼラチンフィルターは劣化が早く、1~2年経つと効果が薄れるため交換が必要になってしまうのです。
じゃあレンズ前に装着するとなるとその逆で、フィルタの交換は非常に楽になりますが、ファインダーを覗いても可視光線が入ってこないため、暗闇の中でピントを合わせるというウルトラCの技術が必要となります。
個人的にはIR72もしくはSC66というゼラチンフィルターを撮像素子の前に取り付けるというのをお勧めしたいところですが、これは皆さんのお好みに合わせてどうぞ、としか言えません。
ちなみに自分は最初IR80フィルタを撮像素子前に装着したのですが、良い画にならなかったため再度分解して取り外し、レンズ前にKenko PRO1D IR72というフィルタを装着しました。あと、もう一つ考えておくべきことがあるとすると「ピント位置のズレを合わせるか?」ということです。
ローパスフィルターは約1.2mmの厚さがありますが、それを取り外してしまうためにピント位置がその分ずれて(後ピン化して)しまいます。
もしゼラチンフィルターを取り付け、AF精度にこだわるのであれば、ローパスフィルターの代わりとして1.2mm程度のアクリル板を取り付け、その前にゼラチンフィルターを貼りつけたものを撮像素子の前に装着すると良いでしょう。
ここもAFではなくMFを使用して、ほんのわずかピントを前にずらしてあげればいいので、こだわる方はお試しくださいという程度で大丈夫でしょう。
(アクリル板を入れてもピント位置は完全にはなりません。)ローパスフィルターの取り外し、IRフィルターの装着、ピント位置調整用のアクリル板の装着まで完了したら、分解手順の逆に再組み立てしていきます。
これで赤外線撮影用の改造は完了です。
後は実際にカメラを持って撮影に行きますが…この続きはまた次回に。